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金丸弘美(食環境ジャーナリスト)
雑誌「ソトコト」で連載をしてきた学校給食への取り組みを中心に、自らが経験したノウハウを紹介。 全国の農村500ヶ所、東京の農家や野菜売り場60ヶ所を自ら巡り食と農の結びつきを大事にしている。 |
子どもの食環境を見直す機運が高まっている
![]() 私は昭和27年生まれで、高度成長期に育ってきました。食生活に洋食やインスタント食品、お菓子類が無数に入ってきた時代です。妻も同じ時代に育ちました。 子どもは東京都世田谷区の保育園に通わせていたのですが、ある時、保育園の先生に「お子さんの肌がとてもきれいですね」と褒められたんです。今の時代はアレルギーやアトピー肌の子が非常に多いのだそうです。 実は、妻は10代の頃は重度のアトピーで、栄養士の指導のもと、和食中心の食生活に改善した経験がありました。しかしのちに彼女は薬剤治療の副作用でガンを病み、子どもは市販のお菓子を食べるとアレルギーが出るようになってしまいました。 私たちは、思いきって奄美諸島の徳之島に引っ越すことにしました。3年前のことです。徳之島といえば、長寿の島として知られていますが、調査をしてみると、現在の徳之島の若者たちは本土の人の3倍も肥満率が高く、以前のような寿命率は将来望みにくいことがわかりました。 この調査結果を2004年に発表したところ地元で大きな論議を呼び、自分たちの食生活を見直していかなければという機運が一気に高まりました。 |
子どもの朝食にはごはん食を
![]() 今は、インスタント食品、お菓子、ジュースなど、脂質や糖質の多い食品があふれています。刺激の強い食品を好んで食べて味覚音痴になり、ますます刺激物を求める子ども、やわらかいものを食べる癖がついて咀嚼力が落ち、便秘がちな子ども、朝ごはんを食べず、夕ご飯の時間も不規則な子ども……。 こうした子どもが増えるのに比例して、肥満やアトピー患者も年々増加しています。私は、現状を打開するべく、第一に朝食にごはんを食べさせること、第二に和食中心の食生活にしていくこと、この2点を啓発していこうと活動を開始しました。 なぜ朝食にごはんかというと、人間は、寝ている間にもエネルギーを消費しています。その大半は脳の活動に使われており、朝食を食べないと脳のエネルギーはますます欠乏し、集中力の低下やイライラの原因になってしまいます。 朝食にごはんを食べると、パンより腹持ちがよく、咀嚼のため筋肉を使うので脳も活発に働くようになります。実際、朝食にごはんを食べた子のほうが学力が高いという統計結果もあります。また、よく噛むことで歯並びもよくなります。歯の健康は、成人後の体全体の健康にも大きく影響します。 |
地域の人々、学校、親との交流を推進
![]() 和食中心の食生活という点で推奨しているのが、地域と子どもたちとの交流です。家庭での規則正しい食事や栄養バランスが崩れている今、地域が果たす役割はとても大きい。 私自身、食育のイベント企画などをしていますが、各地の学校を視察しても、そうした動きは徐々に広がっているように思います。 たとえば大分県佐伯市では、「旬と四季と親子を結ぶおむすび」という教室を開催し、地元の生産者と親子のコミュニケーションの場を設けています。 静岡県伊東市の小学校では、地元米、新潟の米、雑穀などを味比べするテイスティング大会を催し、ごはんの魅力を再確認する機会を作っています。 佐賀県唐津市の中学校は、100%地元産の素材を使用した「公開学校給食」を実施し、県知事、漁師、農家、豆腐屋さん、旅館経営者など、地域の人々と生徒たちが意見を交換し合う場を設定し、地元のマスコミでも大きな評判を呼びました。 東京都北区の小学校では、米飯・和食中心の給食を徹底。栄養士がアレルギーや肥満に関する親からの相談に応じたり、子どもたち自らパソコンに日々の食事メニューを入力して栄養バランスを管理したりしています。 |
今こそ和食・米飯文化を見直そう
![]() 学校給食を軸としたこうした取り組みは、地域の大人たちが、学校給食や子どもたちの食生活について真剣に考える貴重な機会です。 また、子どもたちが生産者の苦労を知り、作物が育つ環境や、動植物が共存する生態系のしくみ、栄養バランスのとれた食生活の大切さなど、さまざまなことを学ぶチャンスでもあります。そして、これらの根幹となっているのが、米飯を中心とする和食文化です。 米飯は、先に述べたように、健康に寄与するさまざまなメリットがあります。私たちが一日に摂取するカロリーのおよそ半分は炭水化物ですが、これを米飯中心にしていくことで、子どもたちの丈夫な体、健やかな精神、ひいては彼らの未来を守ることにつながっていくと思います。 近年は海外でも和食ブームだと言われていますよね。マドンナやロバート・デ・ニーロなど有名セレブもさかんに和食を食べていると聞きます。私たち日本人、とりわけ子どもを持つ親たちは、改めて和食文化、米飯を見直す時期にきているのではないでしょうか。その第一歩が米飯学校給食の推進であると、私は考えています。 |






